問題があって

それで〝爺さん〟〝婆さん〟である。

人間は必ず老いるものだから今の内からそれに慣れる為にも〝爺さん〟〝婆さん〟と呼び合うのはお互いの老いを認識する上にも役に立つ。
続いて出てくる言葉も違和感がない。
〝爺さん、もう歳なんだから〟は〝パパ、もう歳を取ったわね〟よりも遥かに探偵比較説得力があろう。
自分で自分の老いを認識するのは若さを過信するよりも何ほどか有効かと思う次第だ。

唯、問題があってそれは他人前では中々呼び難いことである。
片方は頭が禿げあがってきているが、所謂〝爺さん〟ほどアチコチが弛んではいない。
片方は白髪を隠して若造りしている。
にも拘わらず、〝爺さん〟〝婆さん〟と呼び合っていると周りからかなり注目を浴びる格好になる。
こう言う時の対処が困ったもので日頃、言いなれない〝ダーリン〟や〝ハニー〟は以ての外だし、〝あなた〟とか〝お前〟とかも言い慣れていないので相手が気付くかどうかが疑わしい。
勢い、〝爺さん〟〝婆さん〟と言う呼びかけの言葉を抜きにして本題に入る訳でこれが人が大勢いる所なんかだと全く伝わらない。
おまけに〝爺さん〟は耳が遠い。

と言う訳で〝爺さん〟と〝婆さん〟と呼び続けるのだろうと思う。